1960年代の怪獣少年が怪獣ガレキ・チープトイと戯れる日々

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「地底怪獣」という、心地よい響きのサブネームは、なんともいえぬどっしり構えた感があって味わいが深いです。「○○怪獣」たくさんあれど、これこそが怪獣の王道?ではないかと思います。初期ウルトラ作品で地底をテリトリーとした怪獣ではゴメス、モングラー、パゴス、ネロンガ、マグラ、ガボラ、ケムラー、テレスドン、ゴモラ、ゴルドン、ギラドラスなどが登場しました。

中でもパゴス、ネロンガ、マグラ、ガボラが、バラゴンを改造した同一の縫いぐるみを使ったことは周知の事実です。この4体こそが、まさに地底怪獣の鑑(かがみ)のような存在のグループであることは誰もが認めるところではないでしょうか。そこでウルトラの地底怪獣を飾った「バラゴン・スーツバリェーション」の縫いぐるみ改造の変遷について、備忘録ついでに。

①1965年の4~6月。東宝映画『フランケンシュタイン対地底怪獣』のためにバラゴンの縫いぐるみが作られ撮影が進められました。バラゴンの造型は利光貞三氏をはじめとする東宝特美スタッフ。劇場公開は7月。
昔、このバラゴンとモスゴジが円谷プロに貸し出された経緯(パゴスとゴメスに改造)もあることから、「縫いぐるみ2体説」がまことしやかに囁かれたましたが、当時のスタッフの証言から、実際は[予算、時間、人手]の関係で、どちらも1体だけだったというのが真実です。

②同年8月。バラゴンは首を東宝内で切って、体だけ円谷プロに貸し出され『ウルトラQ』のパゴスに改造されます。造型は高山良策氏。バラゴンを返すことが前提だったため、高山氏はボディを切り貼りの作業から守るため、ウレタンのアンコをかませ、布で体を包んでその上からモデリングをはじめました。オリジナルへの損傷を抑えた結果、パゴスは腿が体に潜ってしまい、外に出たところが細く痩せて見えます。しかし、布のたるみがシワとなって表れ、いい効果をだしています。
9月に第18話「虹の卵」の撮影を終えたパゴスは、11月に「ガラモンの逆襲」の東京タワーのセットで撮影会(ウルトラQは怪獣の世界)に使用されます。

③翌66年3~4月。パゴスは東宝へは返さず、『ウルトラマン』のネロンガに改造されます。造型は佐々木明氏。パゴスの体に、新たに新造された頭部がつけられました。多段状の背ビレの中央に、下半身に向けて縦の背ビレがついています。第2話「科特隊出撃せよ」の撮影は5月頃。

④同年6月。ネロンガは頭部の触覚、背中の縦の背ビレが外され、頭から尻尾の先まで全身に無数のウレタンブロックのトゲを貼り付け、真っ黒に塗装したマグラに改造されます。造型は佐々木明氏。一見ネロンガからの改造とはわからないほどの造型がなされています。第8話「怪獣無法地帯」の撮影は6月頃。

⑤同年7月。マグラの鼻先のツノとウレタンブロックのトゲを外され、首部分に開閉式のヒレ(フェイスガード)を付けたガボラに改造されます。造型は佐々木明氏。マグラの黒地がシルバーグレイのガボラの地肌や牙に残っているのが確認できます。このヒレを閉じた状態で地中から登場し、四足歩行する様は実にカッコイイ! 第9話「電光石火作戦」の撮影は7月頃。本編企画当初は、パゴスが再登場するはずでしたが、すでにパゴスは存在していませんでした。

⑥同年8月。ガボラはふたたびネロンガに改造されます。この時、鼻先のツノの位置がいいかげんな所につけられたのがちょっと悲しいです。9月撮影のドラマ「泣いてたまるか」にゲスト出演したあと、このネロンガは遊園地のアトラクション巡業に使われます。

⑦そして、68年の東宝映画「怪獣総進撃」でネロンガはふたたびバラゴンにもどされ登場します。このとき劇中のアナウンサーの台詞に「地底怪獣が凱旋門を…」という場面で、画面に登場したのはバラゴンではなく、ゴロザウルスでした。
これは一説では、バラゴンの大きな耳が仕掛けに引っ掛かるためといわれていますが、バラゴンにもどされる修復が間に合わなかったことも要因だったとされています。

さて、足掛け3年間のあいだに7回も改造されたバラゴンスーツですが、過酷な改造の連続に耐えたのは、バラゴンが保ちのいい丈夫な縫いぐるみだったのと、高山氏が体表を一枚くるんだためでした。
そしてこれらの怪獣が人気を博しているのは、成田氏のそのデザインの秀逸さにあります。マグラでは隠されましたが、バラゴンの背中の連続する多段状のヒレの美しさを残しつつ、最大限に利用し、それとは思わせない頭部造型によるアレンジは、まさにウルトラの地底怪獣として登場してくれました。
ありがとう、お疲れさまでした。



うーん、すごい博学だ。勉強になります。
⑥と⑦は全く知らない話でした。
ハヤタ隊員さんは「ムック本からの知識です」
ときっとご謙遜なさるでしょうが、僕らにとっては
このブログこそが知識の源なのです。
改めてありがとうございます。
【2006/09/25 18:05】 URL | gomora23 [ 編集]
いやぁ、実に勉強になりました!
なるほど、ガボラから先は知りませんでした。
成田氏デザインの中でも最高傑作のひとつであるバラゴンや
それ以降の怪獣はやはりあの段状の背中が特徴ですよね。
マグラのときはトゲで隠されて見えませんが、やはり口はネロンガですよね。
マグラは、HGでは完全にトゲトゲにされてましたが、
名鑑ファイナルでは、あの背中の背ビレが垣間見えますね。
【2006/09/25 20:35】 URL | 定静 [ 編集]
>gomora23 さん
謙遜も何も、ほんとうに昔読んだムック本などで仕入れた知識です(笑)。お恥ずかしい。

⑥ですが、もう少し詳しく書きますと、
アトラクション用に、佐々木氏が納品するはずの「新造ネロンガ」の製作が遅れに遅れたことから、佐々木氏はガボラの改造で済ませました。
時間がなく、慌てていたのか、鼻先につけるべきツノを、ガボラの眉間あたりに付けてしまっています。結果、このネロンガにはガボラの「鼻の穴」がそのまま残ってしまっています(笑)

本来なら、縫いぐるみの改造はガボラで終了し、東宝に返却されるはずだったんでしょうが、この一件でアトラク巡業に周るはめになります。
しかし、円谷プロが3年間もバラゴンの胴体を借りていたことを知ったときは驚きました。「バラゴン・スーツバリエーション」は1年くらいだと思ってました(笑)。


>定静さん
やはりバラゴンの背中の多段状のヒレのデザインは素晴らしいものです。
頭部がすげ替えられても、何の違和感なくマッチしてしまいます。元のバラゴン以上にアピールしていますね。

名鑑ファイナルのマグラは、ちゃんとネロンガを先に作ってから、マグラにしたような感じがしますね。好作品です!
【2006/09/26 01:12】 URL | ハヤタ隊員 [ 編集]
はじめまして。帰りマン世代のワンダバといいます。
1ヶ月ほど前にハヤタ隊員さんのブログを見つけまして
ずぅっと読んでます。それにしてもコメントの内容が濃いですね。読んでいておもしろいです。造型面を中心とした話の切り口が興味津々でいつも楽しみにしてます。
実はカルチャーショックなお話ばかりで驚いています。
これからも宜しくおねがいします。乱文失礼しました!

ひとつ疑問なのですがバラゴンスーツバリエーションは最初のパゴスだけが高山さんで後は佐々木さんの造型なのは何故ですか?初期ウルトラ怪獣は高山さんの造型というイメージが強いもので。

【2006/09/26 19:23】 URL | ワンダバ [ 編集]
>ワンダバさん
はじめまして、いらっしゃいませ。
こちらこそよろしくお願いいたします。
つまらないことばかり書き綴っていますが、
また覗いてやってください。

高山氏は、「ウルトラQ」での縫いぐるみ制作を終えたのちすぐに大映のバルゴンや大魔神の制作に取り掛かりました。
このため「ウルトラマン」には遅れて参加されたため、マンでの最初の縫いぐるみ制作は、[制作№4]のアントラーからになりました。

この制作順以前のバルタン星人やネロンガは佐々木氏が造型されました。ですからネロンガ以降のバラゴンスーツの改造は、佐々木氏が担当されることになったのではないでしょうか。

もし、高山氏が「Q」以降すぐに続けて「マン」に移行されていたなら、氏の手によるセミ人間からバルタン星人への改造がなされていたかもしれませんね。いや、もちろん佐々木氏のバルタン星人も完璧の出来ですが!
【2006/09/27 00:42】 URL | ハヤタ隊員 [ 編集]















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